着香

水面に浮かぶ三枚の葉が印象的なミツガシワ。その愛らしい姿からは想像もつきませんが、古くから人々に親しまれてきた歴史を持つ植物です。湿地帯や湖沼といった水の豊かな場所にひっそりと根を下ろし、春になると水面から茎を伸ばして、その先に純白の花を咲かせます。その可憐な姿は、訪れる人々の心を和ませてくれることでしょう。ミツガシワという名前の由来は、その特徴的な三枚の葉にあります。まるで三つの鏡を合わせたかのようなその姿から、「ミツガシワ（三槲）」と名付けられたと言われています。このユニークな葉は、古くから人々の生活に役立てられてきました。ヨーロッパやアジア、アメリカなど、ミツガシワが生息する地域では、その葉を乾燥させてお茶として楽しんだり、苦味を生かして料理の香り付けに利用したりと、様々な方法で生活に取り入れてきました。その独特の苦味と芳香は、ミツガシワが持つ様々な成分によるものであり、近年ではその効能が改めて見直されています。古くから人々に寄り添い、様々な恵みを与えてきたミツガシワ。その可憐な花と、歴史に裏付けられた力強さを、ぜひ一度、間近で感じてみてはいかがでしょうか。