伝統食材

ヘチマと聞いて、何を思い浮かべますか？おそらく多くの方が、台所で食器を洗う際に使う、あのザラザラとした感触のタワシを想像するのではないでしょうか。 ヘチマは、ウリ科の一年草で、ツルを伸ばして成長する植物です。夏の暑い時期に、黄色い可愛らしい花を咲かせます。そして、その花の後には、緑色の細長い実がなります。この実は、若い時期には食用として楽しむことができます。 ヘチマは、東南アジアが原産とされ、日本では平安時代にはすでに栽培されていたという記録が残っています。夏の暑さにも負けずにぐんぐんツルを伸ばし、たくさんの実をつけることから、「繁栄」や「子孫繁栄」の象徴として、縁起の良い植物として古くから親しまれてきました。 また、ヘチマは、その実を食用とするだけでなく、様々な用途で利用されてきました。実を成熟させて乾燥させると、内部が繊維質になり、あの独特のザラザラとしたタワシになります。このタワシは、食器洗いだけでなく、身体を洗う際にも使われてきました。さらに、ヘチマの茎からは、化粧水などに使われるヘチマ水が取れます。 このように、ヘチマは、私たちの生活に古くから根付き、様々な形で役立ってきた、まさに日本の夏の風物詩と言えるでしょう。