健胃や整腸に!漢方の生薬としても使われるキハダの魅力
日本の山々、特に温暖な地域の山奥深くには、ひっそりとたたずむ巨木、キハダの姿が見られます。10メートルから、時には20メートルにも達するその姿は、まさに森の番人のようです。5月から6月にかけて、キハダは緑葉の間に黄緑色の小さな花を咲かせます。その花は決して華やかではありませんが、周囲の緑に溶け込むような、奥ゆかしい美しさを漂わせています。秋が深まると、今度は黒っぽい実をつけます。その実は鳥たちにとって、厳しい冬を乗り越えるための貴重な食料となります。
キハダという名前は、その樹皮に由来しています。樹皮を剥ぐと、内側は鮮やかな黄色をしています。この鮮やかな黄色が、肌の色を連想させ、「黄肌(きはだ)」と呼ばれるようになったと言われています。古くから、この黄色は染料として利用されてきました。また、漢方薬としても、健胃や整腸など、様々な効能があるとされ、人々の生活に密接に関わってきた植物です。