エレミ

フィリピンは、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた島国であり、多種多様な植物が息づいています。その中でも、ひときわ人々の生活に寄り添ってきた木の一つに、エレミという高木があります。エレミは、フィリピンを原産とするカンラン科の植物で、熱帯雨林の深い緑の中で力強く育ちます。その幹からは、人々を魅了してやまない芳香を放つ樹脂が採れます。 古くからフィリピンの人々は、このエレミの樹脂を様々な用途に利用してきました。樹脂からは、甘くスパイシーで、どこかレモンを思わせる爽やかな香りが漂います。この香りは、心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらすとされ、宗教儀式や瞑想などにも用いられてきました。また、その芳香を生かして、香料としても珍重されてきました。 さらに、エレミの樹脂は、接着剤としても優れた特性を持っています。乾燥すると硬化する性質を利用して、物を接着したり、塗料として使用したりしてきました。 このように、エレミはフィリピンの人々にとって、その豊かな恵みから生活に欠かせない貴重な存在として、古くから大切にされてきました。