セイヨウシロヤナギ:その歴史と特性
セイヨウシロヤナギは、ヤナギ科に属する落葉性の小高木で、湿り気を帯びた土壌を好み、川辺や湖畔など水辺に多く自生しています。その名の由来は、葉の裏側に密生する白く柔らかな毛にあります。この毛は、葉の裏側を白く見せることから「白柳」の由来となっています。原産地はヨーロッパからアジアにかけての広い地域に分布し、古くから薬用植物として人々に利用されてきました。
セイヨウシロヤナギは、成長が早く、高さは25メートルにも達することがあります。樹皮は灰色がかった茶色で、成長するにつれて深く縦に裂け目が入り、年輪を重ねるごとに風格を増していきます。早春には、葉の展開と同時に花を咲かせます。花は尾状に垂れ下がり、綿毛に包まれた種子を風に乗せて遠くまで飛ばします。
セイヨウシロヤナギの樹皮には、サリシンという成分が含まれており、これが体内に入るとサリチル酸に変化します。サリチル酸は、解熱鎮痛剤として知られるアスピリンの原料としても有名です。そのため、セイヨウシロヤナギは、古くから民間療法で、熱や痛みを和らげるために用いられてきました。