セイヨウオトギリソウ: 古代から伝わる癒やしの力
セイヨウオトギリソウは、ヨーロッパを原産とし、アジアや北アフリカにも分布を広げる多年草です。高さは30〜90cmほどに成長し、夏になると鮮やかな黄色い花を咲かせます。古来より人々の生活に寄り添い、その利用は薬草として、歴史に深く根付いています。その歴史は古代ギリシャ時代まで遡り、かの有名な医師ヒポクラテスもその薬効を認め、様々な病気や怪我の治療に用いていたという記録が残されています。
セイヨウオトギリソウは、特にヨーロッパにおいて「聖ヨハネの草」という別名で呼ばれています。この名前の由来は、キリスト教の聖人である洗礼者ヨハネに由来します。伝説によると、セイヨウオトギリソウの赤い汁は、ヨハネが斬首された際に流れた血によって染まったとされています。そのため、セイヨウオトギリソウは神聖な植物として、魔除けや幸運のお守りとして、人々の生活に深く浸透していきました。また、その鮮やかな黄色い花は、太陽の象徴とされ、古くからヨーロッパ各地で夏至の祭りに欠かせない植物として、大切に扱われてきました。