コリアンダー: 香りを楽しむ万能ハーブ

コリアンダー: 香りを楽しむ万能ハーブ

独特の香りを持つハーブ

地中海沿岸を原産とするコリアンダーは、セリ科に属する一年草または二年草です。草丈は30〜90cmほどに成長し、細かく枝分かれした茎には、セロリの葉によく似た、繊細な羽状の葉を付けます。
コリアンダーの特徴はその独特な香りです。この香りは、植物全体から漂い、人によって好き嫌いがはっきりと分かれることでも知られています。この香りは、カメムシを連想させることから、「カメムシ草」と呼ばれることもあります。
しかし、この独特の香りが、エスニック料理に欠かせない風味を生み出すとして、多くの国々で愛用されています。特に、タイ料理、インド料理、メキシコ料理、中華料理など、様々な国の料理に広く用いられています。コリアンダーは、料理に爽やかな香りを添えるだけでなく、食欲を増進させる効果も期待できます。また、消化を助ける働きがあるともいわれており、古くから生薬としても利用されてきました。

料理に彩りを添える葉

日差しが強くなり、木々の緑が濃くなる初夏になると、コリアンダーは枝の先端に小さな白い花を咲かせます。そして、花が終わると、直径3〜5mmほどの小さな果実をつけます。
コリアンダーは、葉の部分を料理に用いるハーブです。その独特の爽やかな香りは、魚や肉の臭みを消し、風味をより一層引き立ててくれます。特に、タイ料理やメキシコ料理など、エスニック料理には欠かせない存在です。日本では、パクチーという名前で親しまれており、近年では、エスニック料理だけでなく、様々な料理に用いられるようになりました。
コリアンダーの葉は、料理に彩りを添えるだけでなく、独特の香りを楽しむことができる、魅力的なハーブです。

用途の広い果実

パクチーの果実は、コリアンダーとも呼ばれ、葉とは全く異なる風味を持つ、実に多目的な食材です。カレーをはじめ、世界中の様々な料理に風味を添えるスパイスとして愛用されています。

乾燥させたコリアンダーは、ホールのまま使うことも、粉末状にして使うこともできます。ホールを使う場合は、じっくりと時間をかけて香りを引き出す料理に最適です。一方、粉末状のコリアンダーは、短時間で仕上げる料理や、ソースやドレッシングなどに手軽に風味を加えたいときに便利です。

コリアンダーの香りは、爽やかな柑橘類を思わせる香りと共に、ほんのりとした甘みと苦みが感じられます。この独特の風味が、料理に奥行きと複雑さを与え、食欲をそそります。葉とは異なる魅力を持つコリアンダーは、世界中の料理人に愛される、まさに用途の広い果実と言えるでしょう。

伝統的な薬としても

コリアンダーの果実は、「胡荽子（こずいし）」または「胡荽子実」という名前で呼ばれています。この果実は、ヨーロッパでは古くから人々の間で使われてきました。特に、食べ過ぎによる不快感や、胃腸の調子を整え、お腹に溜まったガスを排出するのを助けるために利用されてきました。 その効果は広く認められており、薬の公式な記録にも記載されています。そのため、伝統的な薬草の一つとして、多くの人々に知られています。