血圧ケアに役立つ?注目のラクトトリペプチドとは

血圧ケアに役立つ?注目のラクトトリペプチドとは

サプリメントの疑問

先生、この『ラクトトリペプチド』の説明文を読んだのですが、ちょっと難しいです。簡単に言うと、どういうものなんですか?

サプリメント専門家

そうだね。『ラクトトリペプチド』を簡単に言うと、牛乳から作られる、血圧を上げるのを抑える働きがある成分なんだ。

サプリメントの疑問

牛乳から作られるんですか?どうやって作るんですか?

サプリメント専門家

牛乳に含まれるタンパク質を、乳酸菌や酵母、麹菌などを使って分解して作るんだ。イメージとしては、微生物の力で牛乳の成分を変化させて、体に良い成分を作り出しているんだよ。

ラクトトリペプチドとは。

「ラクトトリペプチド」は、サプリメントに使われる成分の名前です。これは、牛乳から脂肪分を取り除いた「脱脂乳」を、ヨーグルトやチーズを作る時に使う「乳酸菌」の一種で発酵させて作ります。この発酵中に、血圧を上げる物質を作る「アンギオテンシン変換酵素」というものを抑える働きを持つ「ペプチド」という成分が見つかりました。これが「ラクトトリペプチド」です。

「ラクトトリペプチド」という名前は、牛乳からできた3つのアミノ酸がくっついた「ペプチド」という意味で、よく使られています。しかし、実は特定の会社の名前として登録されている言葉です。

実際に食品に使われている「ラクトトリペプチド」は、「IPP」と「VPP」という成分を含むチーズのタンパク質を分解したものです。これは、脱脂乳を乳酸菌やパンを作る時に使う「酵母」で発酵させて、その中のタンパク質を分解して作ります。また、味噌や醤油を作る時に使う「麹菌」から取り出したタンパク質分解酵素を使って、チーズのタンパク質を直接分解して作る方法もあります。

ラクトトリペプチドの由来

ラクトトリペプチドの由来

– ラクトトリペプチドの誕生秘話
ラクトトリペプチド。その名の通り、牛乳を由来とする成分です。
私たちが普段口にする牛乳は、様々な栄養素を含む完全栄養食品と言われる一方で、脂肪分も多く含んでいます。そこで、牛乳から脂肪分を取り除いたものが脱脂乳ですが、ラクトトリペプチドはこの脱脂乳に隠されていました。
カギを握ったのは、ヨーグルトでおなじみの乳酸菌です。
数ある乳酸菌の中でも、「ラクトバチルス・ヘルベティカス」という種類の乳酸菌を用いて脱脂乳を発酵させると、不思議なことが起こります。牛乳に含まれるタンパク質が、この乳酸菌の働きによって分解され、様々な大きさのペプチドへと姿を変えるのです。ペプチドとは、いくつものアミノ酸がつながった状態のことを指します。
そして、この分解によって生まれたペプチドの中に、血圧を調整する働きを持つものが発見されました。これがラクトトリペプチドの誕生であり、その名前は「牛乳由来の3つのアミノ酸から成るペプチド」を意味しています。

名称 説明
ラクトトリペプチド 牛乳由来の3つのアミノ酸から成るペプチド。血圧を調整する働きを持つ。
乳酸菌 ヨーグルトを作るために使われる菌。その中でも「ラクトバチルス・ヘルベティカス」がラクトトリペプチドの生成に貢献する。
ペプチド いくつかのアミノ酸がつながったもの。牛乳のタンパク質が乳酸菌によって分解されて生成される。

血圧との関係

血圧との関係

– 血圧との関係私たちの体の中には、血圧を調整する複雑な仕組みが備わっています。その中でも重要な役割を担っているのが、いくつかの酵素です。その一つに、アンギオテンシン変換酵素と呼ばれるものがあります。この酵素は、アンギオテンシンⅠという物質をアンギオテンシンⅡという物質に変換する働きを持っています。そして、このアンギオテンシンⅡこそが、血管を収縮させ、結果として血圧を上昇させる働きを持つ物質なのです。ラクトトリペプチドは、このアンギオテンシン変換酵素の働きを阻害する効果を持つことが分かっています。つまり、ラクトトリペプチドを摂取することで、アンギオテンシンⅠからアンギオテンシンⅡへの変換が抑えられ、その結果として血圧の上昇が抑制される可能性があるのです。高血圧は、様々な病気のリスクを高めることが知られています。そのため、日頃から食生活や運動習慣に気を配り、血圧を適切な範囲に保つことが大切です。ラクトトリペプチドは、こうした生活習慣の改善と合わせて摂取することで、より健康的な血圧管理に役立つと考えられます。

物質名 作用
アンギオテンシン変換酵素 アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換する酵素。
アンギオテンシンⅡ 血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
ラクトトリペプチド アンギオテンシン変換酵素の働きを阻害する。その結果、血圧の上昇抑制効果が期待される。

二つの主要なペプチド

二つの主要なペプチド

– 二つの主要なペプチド

ラクトトリペプチドは、牛乳などの乳製品に含まれるタンパク質の一種であるカゼインから分解されてできる成分です。その中でも、特に注目されているのが-Val-Pro-Pro (VPP)- と -Ile-Pro-Pro (IPP)- という二つのペプチドです。

VPPとIPPは、それぞれ異なるアミノ酸の配列を持っています。VPPはバリン-プロリン-プロリン、IPPはイソロイシン-プロリン-プロリンという並び方です。しかし、両者とも共通して、体内で血圧を上げる働きをする酵素であるアンギオテンシン変換酵素の働きを抑える効果が確認されています。

私たちが日常的に摂取している牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品には、このラクトトリペプチドがカゼイン分解物の形で含まれています。つまり、普段の食事を通して自然に摂取できる成分なのです。

ペプチドの種類 アミノ酸配列 効果
VPP バリン-プロリン-プロリン アンギオテンシン変換酵素の働きを抑える
IPP イソロイシン-プロリン-プロリン アンギオテンシン変換酵素の働きを抑える

製造方法

製造方法

– 製造方法ラクトトリペプチドは、主に二つの方法で製造されています。一つ目は、牛乳から脂肪分を取り除いた脱脂乳を、特定の種類の微生物を用いて発酵させる方法です。この方法では、乳酸菌の一種であるラクトバチルス・ヘルベティカスや、パンやお酒の製造にも使われる酵母の一種であるサッカロマイセス・セレビシエといった微生物が利用されます。これらの微生物は、タンパク質を分解する働きを持つ酵素を自然に作り出すため、脱脂乳に含まれるカゼインというタンパク質を分解し、その結果としてラクトトリペプチドが生成されます。二つ目は、麹菌由来のタンパク質分解酵素を、直接カゼインに作用させる方法です。麹菌は、日本酒や味噌、醤油などの伝統的な日本の発酵食品の製造に古くから用いられてきたカビの一種です。この麹菌が作り出すタンパク質分解酵素を利用することで、微生物による発酵過程を経ることなく、カゼインから直接ラクトトリペプチドを生成することができます。このように、ラクトトリペプチドは、微生物の力を借りてカゼインを分解する発酵法と、麹菌由来の酵素を直接作用させる酵素法という二つの方法で製造されています。

製造方法 説明
発酵法 脱脂乳に乳酸菌や酵母を加えて発酵させる。微生物が持つ酵素がカゼインを分解し、ラクトトリペプチドを生成する。
酵素法 麹菌由来のタンパク質分解酵素をカゼインに直接作用させて、ラクトトリペプチドを生成する。

今後の展望

今後の展望

– 今後の展望近年、健康志向の高まりとともに、食品由来の成分が持つ健康への影響に注目が集まっています。その中でも、牛乳由来の成分であるラクトトリペプチドは、血圧を調整する効果が期待され、多くの研究者の関心を集めています。これまでの研究では、ラクトトリペプチドを摂取することで、一部の方に血圧の降下傾向が見られるなど、その効果を示唆する結果が報告されています。しかしながら、これらの研究結果は、まだ十分な数や規模に達しているとは言えません。そのため、より多くの被験者を対象とした、大規模かつ長期的な研究が必要とされています。今後の研究では、ラクトトリペプチドが血圧に与える影響をより詳細に解明するために、どのようなメカニズムで血圧を調整するのか摂取量と効果の関係性個人差が生じる要因などを明らかにすることが課題となります。これらの研究が進展することで、ラクトトリペプチドの血圧調整効果に関する科学的根拠がより強固なものとなり、将来的には、高血圧の予防や改善に役立つ食品やサプリメントの開発、さらには、個々に最適化された食生活の指導など、幅広い分野への応用が期待されます。

項目 内容
注目成分 ラクトトリペプチド(牛乳由来)
期待される効果 血圧調整
現状 一部の方に血圧降下傾向が見られるが、研究数・規模が不十分
今後の研究課題 – 血圧調整のメカニズム解明
– 摂取量と効果の関係性解明
– 個人差が生じる要因の解明
将来的な展望 – 高血圧予防・改善のための食品・サプリメント開発
– 個々に最適化された食生活指導